データーの見方も自己防衛につながる

かれこれ、約30年前のことになるが、
僕の横浜国大工学部の卒業研究のテーマは、
「微量有害物質ニッケルカルボニルの測定法」というテーマだった。

タバコを吸う時、空気中に存在する微量のニッケルと、
タバコの葉の燃焼する時に生じる一酸化炭素が、
反応して、ニッケルカルボニルが生じ、
このニッケルカルボニルが発がん誘発を行うという、
ロシアの論文を見つけたのが、テーマとなったきっかけである。

タバコの喫煙で、発生するニッケルカルボニルは、微量だ。
この微量なニッケルカルボニルの測定法を確立する研究が
卒業研究となったのだった。
このニッケルカルボニルは、穏やかな加熱で、分解され、
ニッケルと一酸化炭素に戻るので、このことを利用して、
分解して生成された、ニッケル量を測定し、この測定値から、
ニッケルカルボニル量を決めるという測定法の確立を目指した。

かなりの低濃度まで理論的には測定できる測定機
(・・・といっても、実験レベルの簡単なものだが)を
組み立てることが出来た。
この測定機にタバコをセッティングし、喫煙状態を作り、
そこから発生されるニッケルカルボニルの量の測定を目指した。

結果は・・・測定法がダメだったのか、測定機が不具合だったのか・・・
は考えたくないので・・・、結果は、タバコの喫煙で生じるであろう
ニッケルカルボニルの量がごく微量過ぎて、測定検出限界以下だったようで、
理論的には、検出できるはずなのだが、
どんな条件でも「不検出(検出限界値以下)」となってしまった。
理論的には、ニッケルカルボニルが発生しているはずだったのだが・・・。
仮に、30年間にわたって、この測定法の確立を目指していたら、
技術革新が進み、測定の精度が上がり、
かなりの微量でも検出できるようになっていたかもしれない。

原発事故によって拡散された放射性物質・・・
様々な機関で測定がおこなわれているようだが、
測定機の検出限界数値は重要だ。
僕の卒業研究と同じように「不検出」という名の下の、実は存在している
・・・ということがあるからだ。

未曾有の大震災・大津波・原発事故・・・
政府の対応を見るにつけ、自分自身で情報を収集し、
自分自身の判断で行動することの大切さを学んだ気がするが、
データーの読み方も、情報収集の中では大切だ。
安全基準値以下=ゼロでは無い、基準値以下の測定結果を示すべき・・・、
不検出(測定限界値以下)=検出限界の数値は?
検出限界の数値に近い量が存在している可能性は否定できない
=ゼロでは無い・・・、

データーを出す側の都合の良い考えで出されたかもしれない
データーの存在があることを意識する必要があると考える。

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