科学的根拠無き基準の変更は許されない。

当たり前の話だが、科学は数値的な裏付けがあって、成立している。
その様々な数値的な裏付けに沿って、様々な規制や基準が作られ、
社会生活は成り立っている。
だからこそ、たとえば、政府という名の大きな権力で、
科学的根拠に基づく数字的な基準を簡単に変更してはならないと考える。
基準を変更するなら、新しい知見に基づく科学的な根拠に基づかねばならない。
今回のまだ進行中の福島原発事故において、
人類の健康に多大な影響を及ぼすであろう様々な基準が
簡単に変えられている現実・・・これは決して見逃してはならない。

さて、昨日、福山官房副長官が「計画的避難地域」に指定する方針を決めた、
福島県飯舘村を訪れて住民に説明をしたという。
飯舘村は、原発事故が発生した当初から、30キロ圏圏外地域ではあるが、
福島原発からの、風下になる割合が高い地域とされていた村である。

なぜか、気象庁は福島原発からの風向きや風速情報の
国内での情報を事故以来、かなりの期間、公表しなかったが、
気象庁のデーターを参考に、各国が風向きのシミュレーションをして、
その結果がインターネットで流れたのだった。
気象庁は、花粉の飛散データーはあれほど流すのに、
原発事故において、最も大切な放射性物質の飛散予測を公表しなかったのだ。
このことは、原発事故が終息後に、議論になることだろう。

さて、昨日の、飯舘村における現地説明や、マスコミへの発表によれば、
計画的避難地域にする根拠が、現状のまま暮らしていると、
年間の累積被曝量が基準を超えるというものだ。
住民への説明では、裏付けとなるデーターを示しているのかも知れないが・・・・、

原発事故以来の、飯舘村内の○箇所の放射線量の推移、
今後の放射線量の推移予想と累積放射線量予想、
その予想累積放射線量が、健康に及ぼす危険度、、、

最低でもこれらを公表して、つまり科学的データーを示して、
説明せねばならないと思う。
さらにいえば、従来まで、通常の生活をしている普通の人が
被曝する放射線量の基準は1ミリシーベルトだったが、
この事故以来の基準を20ミリシーベルトに引き上げた根拠、
この値は、赤ちゃんでも、妊婦でも、子どもでも、大人でも・・・同じである根拠、
・・・などを、少なくとも当事者である村民には、説明せねばならないだろう。

また、さらにいえば、政府の責任で、
避難先の確保、避難先での生活の確保もしっかり示さねばならない。

残念ながら、昨日の政府の説明では、
データーの提示、具体的な避難先、避難後の生活・・・
などは示されたとは伝わってこない。

現政権は、どこまで、国民へ、国への信頼を失わすのだろうか。

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